奈良のベタなお土産、「柿の葉寿司」を紹介します。
関西では有名なので誰でも一度は食べたことがあると思っていましたが、先日静岡県に住む友達に持っていったところ「初めて食べた、おいしいね」と言われ、まだまだ全国区ではなかったのだと知りました。
奈良のお土産、「柿の葉寿司」とは
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kakinohazusi.jpg
サバやサーモン、最近では鯛などが載った一口大のお寿司です。柿の葉できれいに包まれているのが特長です。
好き好きかとは思いますが、私はやはりサバが一番おいしいと思います。サバの油っぽさと酢飯のさっぱり感が最高に合います。
特に気に入っているのはサバのちょうどよい薄さ加減です。一本3000円以上するような「サバ寿司」が京都など他にもあると思いますが、あのサバは厚すぎます。厚くて濃厚なだけに満足感もありますが、体調がいいときでないとちょっとあとでもたれそうです。また年齢も問うと思いますし、あの油分には熱い熱いお茶やさっぱりしたお吸い物もセットでないといけない感じがあります。それはそれでしっかり一食分と考えると贅沢でよいですが、柿の葉寿司はもっと手軽です。
またコンビニやスーパーなどで売られている大阪では「バッテラ」と呼ばれるお寿司は上に長方形に切られた薄い昆布が載せられていて、おいしいことはおいしいのですが薄さのわりになんだか油っぽすぎるように感じます。そういったお隣の府県のサバ寿司と比べると柿の葉寿司は食べやすくておいしくて、おなかにも持たれず、お年寄りから子どもまでいくつでも食べられるのがいいところです。
サバは手切りされたかのようにひとつひとつ不揃いです。さすがに酢飯は機械で作られたかのように四角ですが。
どうしてサバなのにあんなにあっさりしているのでしょう。殺菌効果がある柿の葉で包まれているからでしょうか。
そういえば、ふだんの葉の色はくすんだ緑色ですが、新緑5月の頃の柿の葉はきれいな緑の葉っぱで包まれると聞きました。いつかそんな時期に誰かのところに持っていきたいとは思っているのですが、なかなか実現はしていません。紅葉の赤と黄色が混じった葉で包まれるときもあると聞いたことがあります。見た目どうでしょう、きれいかな。でも季節を感じられるのがおしゃれで素敵ですね。いずれも短い期間だけの限定品でになりますから価値があります。
柿の葉寿司はブランドいろいろ
いくつかの会社で作られており、それぞれの棲み分けがあるかのように、皆自分の育った地域の柿の葉を一番好んでいたりします。サバの油具合、酢飯の甘さやかたさなどが微妙に違うので、好みが少し分かれるのですね。包み方も若干ふんわり気味のところもあれば、きっちりかために包んでいるところもあります。たなか、平宗、ゐざさ、ヤマトあたりが有名なのでそれぞれ少し紹介してみます。
「たなか」の本社は五條市です。五條の友達のところに行ったときは「いろいろあるけど…やっぱりたなかかな」と言っていました。明治後期から始まったそうです。
「平宗」のもともとは吉野の上市村で、文久元年創業だそうです。今では奈良市にもお店が出ていますが。サイトを見ると柿の葉寿司手作り体験もできるそうです。ちょっと楽しいかもしれません。
「ゐざさ」の本社は吉野の上北山村です。もともとその地域で作られていた柿の葉寿司ですが、大正時代にひとりの主婦の作る柿の葉寿司がおいしいと評判になり、そこから発展してきたそうです。酢飯の味のブレンド具合は絶妙だとか。
「ヤマト」の始まりも五條市でした。昭和の時代から仕出しやから始まったそうです。
こうして見ていくとその歴史の長さもさまざまなのですね。
でも結局はひとりひとりの好みですから、好きなブランドを見つけてください。
私について言えば、私の住むところの駅前にたなかがあるのでいつもそこで買っていましたが、娘がゐざさでバイトしたのをきっかけによそのものを食べるようになり、今のお気に入りは平宗です。たなかはなんだか機械生産的な巻き方がちょっと嫌で、あとごはんも硬めで乾きめだと感じます。ゐざさはいっときファンでしたが、なんだか若干サバが小さいような気がします。ということで今のお気に入りは酢飯とサバのバランス(と大きさ)がいい平宗です。ヤマトも食べたことがありますが、なんだか少し素朴すぎるように思いました。
柿の葉寿司作り体験
ときどき市のイベントなどで柿の葉作りがあります。また私自身もそういったイベントをし、人に来てもらったことがあります。すべて材料が準備され、ただ巻くだけですが、おにぎりに海苔を巻くのがちょっと楽しいように、柿の葉寿司で巻くのも楽しかったです。
何と言っても自然な葉っぱなのでいい匂いです。おまけに殺菌効果もあるのですからまことに昔の人の智恵は素晴らしい。
柿の葉寿司のバイトをした娘によると、工場では何より清潔に気が配られること、サバを扱うので手がかじかむくらいに冷たいこと、慣れてくればかなり早く包めて楽しかったことなど聞きました。
それともうひとつ、柿の葉寿司はできたてよりも一日置いた方がおいしいそうです。柿の葉の香りも移りますし。ただし生ものですから何日もはもちません。
使い方、食べ方
しっかり柿の葉に包まれているので、持っていきやすい、食べやすい、傷む心配を神経質にしないで済むというところが良い点です。大きさやその太さはパクリとかぶりつくのにちょうどいいです。一人分なのでしょうか、一番小さい箱は6つくらい入っています。それだけで満足度が高いです。特に外で食べるときのおいしさは格別です。お弁当を作る時間がないときは最寄の駅でちょっと買っていけば、形も崩れず、食べやすく、とても使い勝手がいいものです。
おすすめポイントと買うときの注意点
青魚が苦手、アレルギーがあるという特別な理由がない限り、どなたにもおすすめできる優しい味です。箸やフォークがなくてもそのまま食べられ、手も汚れないのがいいですね。柿の葉のイメージのあのつるつるした表側は酢飯を包むとき内側になりますから、手で持つ方は葉っぱの裏側なのでべたつかないのです。
つくりたてでない方がいいと書きましたが、やはり生ものですから早めに食べる方がよいです。買うときには、いつごろ食べる予定かをお店の人に伝えるとよいでしょう。ちょうどいい味で食べられるものを選んでくれます。できたてがおいしいわけではないので、ここが注意点です。